「WISC」(ウィスク)という検査があります。
ウェクスラーという人が開発した知能検査です。ウェクスラーは知能を「目的に応じて行動し、合理的に思考し、環境を効果的に処理するための、個人の集合的ないしは全体的能力」と定義しました。地域によっては、この検査を受けるために区役所・市役所や病院の予約が3ヶ月待ちという状況もありますが、現在知能検査の中で最も用いられている検査です。対象年齢は5歳0ヶ月から16歳11ヶ月です。
私はこの検査についてはまだまだ勉強中です。また常にこの検査の妥当性について疑問を持ちながら勉強しています。
少し難しい話になりますが、WISC検査には以下の4つの指標があります。
・「言語理解(VCI)」(言語的な知識に関する力、言葉を聞いて理解したり、説明したり、考えたりする力)
・「知覚推理(PRI)」(視覚的な情報を把握し理解する力や、視覚情報に合わせて体を動かす力)
・「ワーキングメモリー(WMI)」(いろいろな課題を遂行する際に、必要な情報を必要な時間だけ一時的に保持し、それに基づいて情報の操作をする力)
・「処理速度(PSI)」(作業のスピード)
の4つです。この指標の凸凹を見ることで、その子の特性を理解しようとするものです。
私は個人的には検査結果はあくまでも「指標」であって、それが全てだと「絶対視」すべきではないと考えています。検査をとる時の本人の体調、天気、場所、検査者の雰囲気などその他にも多くの条件が結果に大きく影響を与えるものであると思うからです。検査結果は、通院や服薬の必要があるのか、学級に支援の先生をつけてもらう必要があるのかなど、日常の工夫を考える手がかりなのです。検査者は、検査結果を本人や保護者や学校など関係者に伝える際、日常生活に役立つ情報を提供する必要があります。具体的な「環境調整」の仕方を一緒に考えることが重要なのです。
例えば「言語理解(VCI)」指標が低い子には、次のようなサポートが考えられます。
・物事の説明を始める前に、重要な言葉や概念の意味を伝える(事前に説明する、板書する、単語リストを渡すなど)、
・読みにくい漢字にはフリガナをふる
・新しい言葉を説明する時には既に知っている簡単な言葉を使って説明する
・新しい単元や学習内容に入る時には新しい言葉や概念の意味を調べる機会を作る
などです。
しかし、このようなたくさんの選択肢の中から、その子に最適なサポート方法を考えるのは簡単なことではありません。保護者の方や学校の先生方だけで抱え込まずに相談室カバサにお気軽にご相談ください。
当相談室では、設備上WISC検査を行うことはできないのですが、検査についての基本的な解説を提供し、またそれを元に具体的な対応方法を一緒に考えることができます。お子さんの特性で苦手なところをフォローし得意なところを伸ばす方法を、ぜひ相談室カバサで一緒に考えてみませんか?
参考資料:日本版WISC-IVによる発達障害のアセスメント 日本文化科学社